歯周病とは
歯周病は、歯を支える歯ぐきや周りの組織が炎症を起こしている状態のこと。重度になると細菌によって顎の骨が溶け、口腔内のトラブルや歯の喪失を引き起こします。
(公財)8020推進財団によると日本人が歯を失う原因の第一位が歯周病。また、誤嚥性肺炎や認知症など、全身の健康との関連があることもわかっています。

歯周病の原因
歯周病の原因は口の中にいる歯周病菌です。歯磨きで落としきれなかった歯垢やプラークは細菌たちにとって格好のすみか。歯垢が石のように硬くなる(歯石化する)と歯ブラシでは取れなくため、歯周病菌がどんどん増えてしまいます。
また、喫煙やストレス、不規則な食生活や糖尿病などの病気も歯周病を悪化させる要因。歯周病は単なる口の中だけの問題ではなく、体全体の健康とも深く関わっている生活習慣病のひとつなのです。
歯周病の症状
歯肉炎
歯周病の初期段階で、炎症が歯ぐきだけにとどまっている状態。歯を支える骨はまだ溶けていません。歯肉炎の症状は、歯磨き時の出血や歯ぐきの腫れ。この段階であれば、毎日の丁寧な歯磨きと歯科医院でのクリーニングで健康な歯ぐきに戻すことが可能です。
軽度歯周炎
歯と歯ぐきの隙間が病的な溝(歯周ポケット)となり、その内部で歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が始まった段階。歯周ポケットには細菌の温床となる歯石が固着しやすくなります。歯ぐきが痩せて以前より歯が伸長したように見える、といった見た目の変化は、見逃せない初期症状の一つです。
中等度歯周炎
歯周組織の破壊がさらに進み、歯を支える骨の力が弱まってくる段階。歯周ポケットはさらに深くなり、歯が少しグラグラし始めます。歯ぐきから膿が出たり、口臭が気になったりすることも。ここまで症状が重くなると治療も大がかりになってしまいます。
重度歯周炎
歯を支える骨が半分以上溶けてしまい、歯のグラつきが非常に大きくなった末期の状態。歯ぐきは真っ赤に腫れあがり、歯としての機能はほとんど失われます。歯が自然に抜け落ちてしまう可能性が非常に高いので早急に治療を行う必要があります。
歯周病の検査
歯周病は自覚症状が出にくいからこそ、歯科医院での専門的な検査がとても大切。
口の土台の健康診断として定期的にチェックを受けましょう。
歯周ポケット検査
歯周病の進行度を把握する最も基本的な診査が、歯周ポケットの深さを測定する検査です。プローブという目盛りが刻まれた探針を歯と歯肉の溝へ慎重に挿入し、その数値を記録。健康な状態なら深さは1~2mmですが、数値が大きいほど病状は深刻です。測定時に出血が見られるかどうかも、活動性の炎症を示す重要な判断材料となります。
レントゲン検査
歯周病の進行レベルを精密に診断する上で、レントゲン(X線)検査は欠かせません。肉眼では決して見ることのできない、歯肉の下にある顎の骨(歯槽骨)が、どの程度失われているかを唯一画像化できるからです。この写真分析により、骨吸収の深刻度を客観的に評価し、治療計画へとつなげます。
その他の検査
そのほかにも、ピンセットのような器具で歯を揺らし、グラつきの度合いを調べる「動揺度検査」や歯ぐきの色・腫れぼったさなどを記録する「口腔内写真撮影」などがある歯周病の検査。さまざまな角度から口全体の状態を総合的に診断していきます。
歯周病の治療方法
歯周病治療の土台となるのが「歯周基本治療」。歯科衛生士が中心となって、患者様ひとりひとりに合った正しい歯磨きの方法をアドバイスします。そして、歯の表面や歯周ポケットの浅い部分に付着した歯垢や歯石を、スケーラーという専用の器具で徹底的に除去(スケーリング)。さらに深い部分の歯石は、麻酔をしてから除去する「SRP(スケーリング・ルート・プレーニング)」という処置を行います。
基本治療だけでは改善が難しいほど進行している場合は、歯ぐきを少しだけ切開して歯の根にこびりついた歯石を直接目で見て取り除く歯周外科治療を検討。また、条件が合えば、失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」という選択肢もあります。
当院には日本歯周病学会が認めた「歯周病認定医」が在籍。「歯周病の進行を抑える治療プランが知りたい」「より専門的な治療を受けたい」という方は、ぜひ当院で歯周病治療の最新知識や技術を持ったスペシャリストにご相談ください。

歯周病予防
歯周病で一度失われた歯や骨は元に戻すのが非常に困難。だからこそ、ご家庭で行う「セルフケア」と歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」を組み合わせた「歯周病予防」が何よりも大切になります。
セルフケアの基本は、なんといっても毎日の正しい歯磨き。歯の表面だけでなく、歯周病菌が潜みやすい歯と歯の間、そして歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨くことが重要です。加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日の習慣にして歯と歯の間の歯垢をしっかり取り除くことで予防効果も大きくなります。
そして、セルフケアだけでは落としきれない汚れ(バイオフィルム)や硬くなった歯石を取り除くために、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを受けましょう。

 
                